19世紀フランス、パリで
クレール・ゴドフロワにより作られた8キーのフルート(下)と5キーのフルート(上)
「フラウト・トラヴェルソ」というのは、そもそもイタリア語で「横笛」の意味で、バロック時代の終わりまで、単にflauto、fluteというと通常、今日のリコーダーのことであした。横笛のことは「横笛」とよんで区別していました。その際、英語圏やドイツ語圏を含めて、イタリア語のflauto traversoやフランス語のflûte traversièreが使われることが多かったため、今では、現代のフルート(それ自体、イタリア語では「フラウト・トラヴェルソ」なのですが。)とバロック時代のフルートを区別するために、使われています。日本ではとくに使われますが、英語でもtraversoと使われることがあります。より中立的で確実な呼び方は、バロック・フルート、クラシカル・フルートなどのように時代・様式を表す形容詞を付けることで、英語ではこちらの方が一般的です。
写真の楽器も、実際にはflauto traverso(横笛)でも、このような19世紀のフルートは、あまりフラウト・トラヴェルソとは呼ばれず、ロマンティック・フルート(ロマン派時代のフルート)と呼ばれることが多いようです。
私自身の心の中では、どの時代のものであれ、単にフルートと思っています。
18世紀末から19世紀の半ば過ぎまで最高水準の高品質のフルートを生み出した、Claire Godefroy Aînéの工房の楽器で、8つの銀のキーの付くコーカスウッドの楽器です。